研究内容

MRIの新規画像計測技術


MRI (magnetic resonance imaging)は,超電導マグネットが発生する強磁場の下に置かれた人体や各種測定対象から発生する磁気共鳴信号をもとに,断層像を得る技術です.脳卒中や癌をはじめ,様々な病気の診断において,MRIから得られる鮮明な画像が欠かせません.従来のMRIは形態的情報を得ることに主眼が置かれていたのに対して,当研究室では電流や磁場,導電率,誘電率などの電気的情報を可視化する新たなMRI測定手法に取り組んでいます.これまで,神経活動に由来する微弱な磁場の検出にもとづく新しい脳機能イメージングや,異方性まで含めた生体組織の導電率のイメージングなどに成功しています.
MRI

脳の磁気刺激


経頭蓋磁気刺激は,頭部に置いたコイルからパルス磁場を発生させ,脳内に誘導される電流により神経を刺激する診断・治療法です.有限要素法を用いた数値解析により,磁気刺激における磁場分布や脳内電流分布を解析し,コイル設計や刺激条件の最適化に利用します.他大学や企業と連携して,患者が在宅で使用できる小型磁気刺激装置の開発および実用化にも携わっており,誘導電流発生の効率を高める新しいコイル形状の提案や,試作機の製作に取り組んでいます.
Magnetic

NMR/MRIへの応用を目的とした高温バルク超電導体の捕捉磁場均一化


高温バルク超電導体は,コンパクトながら数テスラの強磁場を発生する能力があり,医薬品の動態追跡を目的とした小動物用MRI装置などへの応用が期待されています.そのための大きな技術的課題が,発生磁場の均一化です.これを解決するアイデアとして,バルク超電導体を同心円状に切り抜く加工を施して内部電流の経路を整える方法などを提案し,その有効性を示す実験を行っています

認知症診断用MRIの新しい超電導マグネットの開発


縦型のMRI用超電導マグネットにおいて,下へ行くほど太くなるような上下非対称のコイル構造を取り入れれば,マグネットの開口部から近い位置に,画像取得のための磁場均一空間を生成できます.患者がMRI装置に入った状態でも広い視野が確保され,手足も動かせる利点があり,脳機能研究や認知症の早期診断などに有用です.非対称なコイル構造を有するMRI用超電導マグネットを,世界で初めて開発しました.